スプレー水塩「京の水塩」誕生秘話

京の料理人『祇園 丸山』の丸山嘉桜が語る
にっぽんの塩革命「スプレー水塩が日本の食卓を変える」より

革新的な京料理 その土壌から生まれたスプレー水塩

祇園丸山私は、日本料理の神髄は京料理にあると思っています。
京料理というと、その土地柄から伝統を重んじる、保守的なイメージが強いと思われますが、じつは逆で、京料理ほど革新的なものはありません。それは古都千二百年という歴史の過程で、京都は日本文化の集積地となり、その時代の生活習慣や生活様式によって変革をとげてきたことによります。京料理の特徴はなにか、とよく聞かれることがありますが、京料理は「水」を表現する「時の美」、各地の郷土料理は「土」の必要性から生じた「用の美」と答えます。京都では「はんなり」という言葉を使います。この言葉の語源は「花なり」からきており、上品で、はなやかな様子を意味します。時とともに生きてきた京料理はつねにはなやかでなければならず、それには革新的な思考が不可欠であったわけです。

『祇園丸山』料理長 丸山嘉桜さん私自身、料理の世界に入るときは、毎日決まったお品書きにしたがって料理を作るのではなく、その季節、その節会にお迎えするお客様の様子をみて、趣向をこらした料理を作りたいと思い料亭の門を叩きました。以来、私はつねに料理の革新性を追究してきたつもりです。その一環として生まれたのがスプレー式の水塩です。

茶筅(ちゃせん)をもとにスプレー式を考案

『祇園丸山』料理長 丸山嘉桜さんスプレー式の水塩を考案したのは、いまから十年ほど前です。そのヒントとなったのは茶道で使う茶筅です。

私たち料理人は、お客様にお料理をお出しする際、きよめをし、盛りつけた料理がちょうどお客様の正面にくるように配慮します。しかし椀物をお出しするときは蓋をするので、正面がわからなくなってしまう。それでその目印を示すために茶筅を使い、蓋に軽く水滴を降るわけです。ところが私は、茶道で使うものをそのまま料理に使っていいものか、これは茶道をたしなむ人たちに失礼ではないか、それにもっと合理的な方法はないかと考えました。そこで思い浮かんだのが家庭で使う霧ふきです。霧ふきは手軽ですし、水滴もきれいにつきます。それ以来、私は調理場には必ず霧ふきを置き、盛りつけの際に使っていたのですが、そのうち水塩も霧状にしてはどうかと考えるようになりました。そして市販のスプレー容器を使って、水塩をスプレーでふきつける方法を試してみたのです。

スプレー式にして思わぬ発見

『祇園丸山』料理長 丸山嘉桜さん水塩をスプレー式にして使う。液状から霧状に変えることで思わぬ発見をしました。

まず一つに、塩の結晶は粒状だと角が立つが、液状にすると丸くなり、それをスプレー容器の中で振ると気泡とあいまってさらに丸みをおびてくる。それによって舌の上部にある味蕾への刺激もまろやかになる。しかも霧状にすると料理にまんべんなく行きわたりムラが出ない。また粒状の塩だと塩加減の調整がむずかしいが、霧状の水塩だとふきつける量がわずかなので自在にコントロールができる。それに塩分は固形塩よりも大幅に少ないので減塩効果も高く、少ない塩分で塩本来の持ち味が生かせる。このようなことが次々とわかってきたのです。

病床の父の食事に使って再認識

スプレー式の水塩の効果はいまお話したことだけではありません。

あるとき私は、病床にある父を見舞いがてら食事を作ったことがあります。父は高血圧で塩分は控え目にしなければなりません。しかし人間はいくら病気だからといって、味のない食べ物はたまりません。文字どおり味けない生活になります。そこで私は「これは自分で考えたスプレー式の水塩です」といって、父の目の前でおかゆにふきつけました。、父からすればたくさん塩味がついた塩分を抑えられ、味けない食生活を強いられていた父は「おいしい、おいしい」といって食べてくれました。

そのとき私は、人は味を目でとらえていることをあらためて知りました。霧状にすると粒状の塩に比べて塩分は4分の1程度しかないのに、たくさん塩をかけているように見えるのです。私は父の食事を作る機会を得て、スプレー水塩の良さを再認識しました。

地球のパワー「室戸沖海洋深層水」

天塩さんの武知勝美会長(当時)が私の店にお見えになったのは、そんな折でした。

武知会長は塩についての造詣が深く、また日本の食卓においしい塩を広げようと頑張っておられ、塩の博士と呼んでも過言ではないくらい、おいしい塩づくりに大変熱心な方でした。武知会長と私は塩の話をしているうちに意気投合し、まず日本の食卓に水塩を広げようということになりました。そして、いよいよ本格的にスプレー水塩を販売することになったわけです。

水塩は、塩はもちろんのこと水も決め手となります。

スプレー水塩は、清浄な深層水として名高い高知県の室戸沖海洋深層水を丸ごと使ったものです。天然のにがりもたっぷり含まれています。地球のパワーというか、生命の水というか、私がイメージしているスプレー水塩のコンセプトとピッタリ合い、私としても大いに期待しています。

日本の食卓にスプレー水塩の素晴らしさを伝えたいという私の願いを、天塩さんが受け止めてくれたことを大変嬉しく思うしだいです。

京の水塩(100mlスプレー)