“にがり”効果で梅への付着性がよく、塩の浸透交換作用が行われるため、早く水があがります。
梅への塩分浸透が早く、水あがりが早いため、微生物やカビによる変質を抑制します。
果肉組織がしっかりし、果肉の破れが少なくなります。
味がソフトでマイルドな梅干しができあがります。
減塩の梅干しもありますが、梅干し本来のおいしさを引き出すには、昔ながらの塩分20%がおすすめ。塩分が高いほど防腐効果が高まり、想像しただけで唾液がわいてくるような酸っぱさとしょっぱさが、おいしさをそそります。
梅干しには、にがりを含んだ、しっとりとした粗塩(赤穂の天塩)が向きます。しっとりとしているので、梅の表面に付着しやすく、早く水があがります。また、にがり成分が梅の果皮ペクチンと結合し、果肉はしっとり、皮は破けにくいおいしい梅干しに仕あがります。
梅が空気に触れると、カビが生えたり、梅酢が白く濁る原因になります。袋漬けにするときは、空気を押し出すようにしてジッパーを閉め、しっかり密封します。梅酢があがるまでは、毎日様子をみて、袋を軽くゆすったりして塩をまんべんなくなじませます。
袋漬けなので、特別に用意する道具はありませんが、重石をするときに袋を入れるボウルは、塩や酸に強いガラスかほうろう製のものを使います。万一袋が破れたり、梅酢がもれたときも安心です。
梅は洗ってなり口を竹串でとり、ペーパータオルで水気をよく拭く。
※なり口をとる時は、梅が傷つきやすいので、要注意。
霧吹きに焼酎を入れ、梅にまんべんなく吹きつける。
保存袋に梅と塩を入れ、袋をふってよくなじませ、空気を抜きながら袋の口を閉じる。
3をガラスかほうろうのボウルに入れ、500㎖入りのペットボトル4本(2㎏)を重石にのせる。
暗くて涼しい場所におき、1日2~3回袋を揺すって全体をなじませる。2~3日して塩が溶け、梅酢が上がってきたらペットボトルを1~2本に減らし、赤じそが出るのを待つ。
赤じそは葉を摘んで水洗いする。
大きめのポリ袋に1を塩20gをふりながら入れ、袋をふって全体に塩をまぶす。
袋の上から手でよくもみ、黒いアクのある汁が出たら、水気を絞る。
もう一度塩20gをふって同様にもみ、水気をかたく絞ってボウルに入れる。
塩漬けの梅の袋から梅酢1/2カップをとり出し、4に注いで箸でほぐし、赤い色を出す。
塩漬けの梅の袋に5の赤じそを全体に広げるように入れる。赤く染まった梅酢(赤梅酢)も注いで密封し、そのまま梅雨明けまで保管する。
梅と汁気を絞った赤じそをざるに並べ、日当たりがよく風通しのよいところで朝から干す。梅酢もラップをして一緒に干す。表面が乾いてシワシワになったら、清潔な保存容器に梅と赤じそ適宜を移し、梅酢を適宜注いで保存する。
梅干しは、日本人の食文化に寄り添うように育てられてきました。平安時代には村上天皇が病気の折に梅の塩漬けで回復されたことが記されています。鎌倉時代や室町時代には武士の食生活の一部として、食膳にのぼるようになりました。人心の落ち着かない時代であった戦国の世においても、梅干しは合戦中の保存食として重んじられ欠かせないものでした。江戸時代には「梅イほゥしや梅ィ干し」と梅干し売り屋が呼び歩き、一般家庭の常備品になりました。そして明治以降は、日本の国旗の色と形をした「日の丸弁当」が生まれたり、「梅干しの歌」が小学校の教科書に載ったりと、庶民の生活に密接に関わってきました。