海水中に溶存するにがり成分を生かした塩にはさまざまな微量成分が含まれています。とくに、にがりの主成分であるマグネシウムは健康の維持・増進に有効であるともに料理における旨味の調整、発酵熟成など様々なはたらきをもっています。
毎日食している塩。日常的で気にとめない方も多いと思われますが、塩は人間の健康と深く関わり合っています。塩のことを知ると、食生活に対する考えも変わってきます。ここでは、塩やにがりに関するいろいろなお話をご紹介します。
にがりの探究にも協力
株式会社天塩は、塩田が全面廃止となった昭和47年(1972年)「昔ながらの塩田産の塩」を求める消費者運動当初から、"にがり"の重要性を説いてきました。また、にがりの主成分マグネシウム等の微量成分の科学的立証を得るべく、日本マグネシウム学会などの研究機関に協力。現在、その有効性が明らかにされてきています。
海とにがり
生命のふるさと―海
すべての生命のふるさとは海です。私たち人類もそのもとをたどれば海から生まれました。
生命のもとである「元素」の大部分は海の中に存在します。私たち人類は、酸素がないと生きられない、水を飲まないと生きられないように、「塩」も生命の維持に欠かせないものであることがわかります。ちなみに、成人一人一日で10.1g(2020年現在)の塩を摂取している統計からみると、1年間で約3.7kgという大量の塩を直接間接に摂取していることになります。であるがゆえに、塩の成分構成が重要視される理由がここにあるのです。
海の栄養素―微量元素
塩の主成分は塩化ナトリウム(NaCl)です。だからといって、塩化ナトリウムだけをもって塩とするのは「自然の摂理」からみても正しいとはいえません。なぜなら海水には主要上位4元素(O、H、Cl、Na)合計(99.69%)以外に様々な微量元素(0.31%)が存在するからです。
それらは、マグネシウム、カルシウム、カリウム、亜鉛、鉄、リンなど、現在分かっているだけで数十元素に及びます。そしてこれらの微量元素こそ、私たちの健康維持に欠かせない大切な栄養素なのです。中でもマグネシウムは、微量元素の41%を占めています。
塩の母液―にがり
塩をつくるとき、海水を濃縮していく過程で塩化ナトリウムが析出されます。そして残りのカン水を俗に「母液」と呼びます。
さてこのカン水。なめてみると苦いので「苦汁」(にがり)と称しました。そして我が国の1200年近い伝統的な塩田製法でつくられた塩には、「自然のうちに」にがりがそのまま含まれていました。
にがりの主成分―マグネシウム
にがりの主成分はマグネシウムです。近年、マグネシウムは「必須元素」(厚生労働省)の主要成分とされ、にがりは従来の豆腐の凝固剤などに使われる「食品添加物」から「マグネシウム含有食品」と表示を変えるようになりました。にがりの効用が科学的にも認証されたわけです。
健康の維持・増進-マグネシウムの効用
現代人はマグネシウム不足といわれています。食事の欧米化や加工食品の利用、アルコールの摂取、ストレスなどが原因とされています。
マグネシウムの摂取不足は、生活習慣病とされる心臓病や高血圧症、糖尿病等と深く関与していることがわかってきました。最近では、マグネシウムは、花粉症、アトピー、便秘解消等に効用があるとされています。また健康の維持・増進に限らず、料理をおいしくするといった、多角的な働きをすることも解明されています。昔の人たちが自然の食べ物から摂取していたマグネシウムを、現代人はいつのまにかないがしろにしてしまったようです。
にがりを含んだ天塩は、海から最高の贈り物です。私たち人類にとって大切なことは、自然の生きものとして、自然の恵みに感謝することではないでしょうか。
にがりを含んだ天塩の特長
わが国の食文化は食品材料、食べ物の知識、調理技術、食べ方などのひろがりの中に結実してきましたが、調味料、とくに塩が果たしてきた役割は大きいものがありました。
食材に使用した場合、旨味の調整、浸透、防腐、醸造、改良促進など多角的な働きをする、にがりを含んだ天塩は、実験結果から、次のような特長を見出すことができます。
メバル塩焼き比較実験
「赤穂の天塩」を振ったほうのメバルは、身のくずれがなく、しっかりとした絶妙な焼き上がりになります。
アサリの砂出し比較実験
「赤穂の天塩」で海水と同濃度の3%の塩水をつくり、そこにアサリをに浸けると、アサリは自然の海の成分を敏感に嗅ぎとり、気持ちよさそうに口を開けて砂を吐き出し、生れ故郷へ帰ったように動き出します。